2022/05/31

希望は夕食としてはまずいが、朝食としては優れている

 希望は夕食としてはまずいが、朝食としては優れている


Hope is a good breakfast, but it is a bud supper.


フランシス・ベーコン

(16~17世紀イギリスの哲学者・神学者・政治学者、1561~1626)



和訳はコリン・パウエル「リーダーの条件」で知ったもの。

「朝食としてはグッドだが、夕食としてはバッド」じゃないの?

と思ったけど、これはたぶんコリン・パウエルの13か条の一つに

「朝になれば状況は良くなっている」

があるからではないかと推測した。


そもそもこの言葉の意味は、名言ナビさんによると

希望は新しい一日が始まる朝に最も効果があり、時間が経つにつれてその効果は下がっていく。
https://meigennavi.net/word/02/025427.htm

ということらしいが、個人的には「夜の希望的観測は危険」という解釈をした。


夢見がちな妄想少年だった私は幼いころから思春期をとうにすぎていい大人になってからも様々に妄想を楽しんでいたが、妄想がリアリティをもって迫ってくるのは決まって夜だった。

夜の帳は余計な雑音をシャットアウトして内的思考に没入させてくれるが、同時に都合の悪い真実をも塗りつぶして悦楽的な希望的観測に誘うのだ。

分かりやすい例でいえば、やらなければならないことが溜まっているときに「こんなに疲れていては出来るもの出来ない。今日はもう寝てしまって明日早起きして片付けよう。なーに、しっかりと休んでフレッシュな頭脳で挑めばすぐに終わるさ」といって寝てしまって朝後悔するアレである。お前の頭はフレッシュでもフーリッシュだろ!という事実を糊塗して誤った行動をしてしまうのである。


仮にこの推測が正しいとするなら、どう考えても「朝になれば状況は悪くなっていた」わけで、(それが真意ではないにしても)「朝になれば状況は良くなっている」と反する印象を与えてしまう。

また、パウエル氏が唱えるポジティブ思考とも合わない。

そこで順番を入れ替えて「優れている」で締めたのはないかと思うのだ。日本語は大事なことは最後に言う言語だからね。


この言葉の真意はもちろんベーコンさんしか分からない。

伝えたかったのは、朝に希望を持つことの大事さなのか、夜に希望に傾倒する危うさなのか。
希望的観測からすると、
両方かな。

2022/05/11

コリン・パウエルの自戒13ヶ条 と 父親の教えたいこと

「アメリカの良心」と呼ばれたコリン・パウエル
イラクの大量破壊兵器保有発言は華々しい経歴に大きな傷をつけるものではあったが、冷静かつ穏健な思想と人柄は尊敬に値すると思う。
 随分前に著書「マイ・アメリカン・ジャーニー」を読んだが、そこにかかれていたパウエル長官(当時)の13ヶ条が、家庭をもつ父としても有益ではないかとふと思ったので今更ながら書き留めておく。


コリン・パウエルの自戒13ヶ条


  1. 何事も思っているほどは悪くない。朝になれば良く見える。
  2. まず怒れ、そしてその怒りを乗り越えよ。
  3. 自分の人格と立場を混同してはならない。立場が悪くなったとき、自分自身も一緒に落ちてしまう。
  4. やればできる。
  5. 選択には最新の注意を払え。それが現実になるかもしれない。
  6. 良い決断をしたら、それをくじくような事実にも挫折してはならない。
  7. 他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。
  8. 小さなことをチェックすべし。
  9. 功績は分かち合え。
  10. 常に冷静に、かつ親切であれ。
  11. ビジョン(将来の見通し。未来像)をもち、自分に対してより多くを求めよ。
  12. 恐怖心にかられて悲観論者のいうことに耳を傾けるな。
  13. 常に楽観的であれば、力は何倍にもなる。
  1.  It ain’t as bad as you think. It will look better in the morning.
  2.  Get mad, then get over it.
  3.  Avoid having your ego so close to your position that when your position falls, your ego goes with it.
  4.  It can be done.
  5.  Be careful what you choose: You may get it.
  6.  Don’t let adverse facts stand in the way of a good decision.
  7.  You can’t make someone else’s choices. You shouldn’t let someone else make yours.
  8.  Check small things.
  9.  Share credit.
  10.  Remain calm. be kind.
  11.  Have a vision. Be demanding.
  12.  Don’t take counsel of your fears or naysayers.
  13.  Perpetual optimism is a force multiplier.

改めて見ても向日的かつ実践的で、確かにこうあれば良い人生が送れそうだなぁという感じがする。また、初見でも思ったが13ヶ条は多すぎる。覚えきれない(笑)

また今回、他の名言などにも通づるするものがあることに気づいた。
例えば3番、自分の人格とポジションとの違いを明確にする姿勢は李登輝の「権力は机に置いておき、必要なときに取り出して使う」と同じ思想であろうし、5番7番、選択についても注意深さは選択の積み重ねが人生を創るというジェフ・ベゾスのスピーチを思わせる。
9番の功績を分かち合えについては映画・In to the wildの名台詞「幸福が現実をなるのは、それを誰かと分かち合ったときだ。”HAPPINESS ONLY REAL WHEN SHARED”」を彷彿とさせる。

先に13ヶ条は多すぎると書いたが、冒頭の1番と13番はどちらも「楽観的であれ」と言っているに過ぎない。4番も同様と見ていいだろう。
それだけ大事で、難しいことなのかもしれない。

息子が5歳になり、幼稚園でも家庭でも社会を意識した教育が始まっている。
「時間を守れ」
「約束を守れ」
「きちんと話をしなさい」
「無駄口を叩くな」
「やるべきことを先にやれ」
「計画を立てろ」
「喧嘩するな」
「言葉遣いに気をつけろ」

ダメ出しの嵐で、これじゃあ嫌になっちゃうよなぁと思うものの、円滑な社会生活のためには大事なことなのは間違いないわけで。
何をどこまで言うべきかは悩ましいところだが、実際のところいくら細かいことを言ってもやるのは子供本人であり、親は実際に学校についていって世話を焼くことは出来ないし、何よりも先に死ぬ。

たぶん親が出来ることなんて思うよりずっと少なくて、でも小さくはなくて、つまるところ子供という別人格が自分で考えるうえで役に立つ、何かのときに思い出すヒントのようなものを与えらればそれで大成功なのだろう。ちょうどこの13ヶ条のように。

今のところ満足のいく子育てが出来ているとは思えないが、大丈夫、きっと思っているほど悪くないし、悲観せず、楽観的に、やればできるの精神で明日からまた沢山話していこうと思う。
我々の旅はまだこれからだ。