娼婦たち
(2003、スペイン)
監督:ルナ
出演:ダリル・ハンナ
デニース・リチャーズ
ヨアキム・デ・アルメイダ
マリア・ヒメネス
世界最古の職業といわれる“娼婦”にスポットを当て、その実像を実際の娼婦たちへのインタビューやプライベート映像、ドラマなど多彩な構成で描き出していく異色作。監督は「ヴィンセント・ギャロ/ストランデッド」のルナ。ドラマ部分にはダリル・ハンナ、デニース・リチャーズらが出演。(allcinemaより)
スタッフロールが終わると、ふいっ、と一息つきたくなった。
チェブラーシカでも観て自分の居場所を確認したくなった。帰りたくなった。忘れたくなった。
何かを抉ったままにしてあるような印象はダンサーインザダークに似ている。
キタね。コレ。
苦学生レベッカが処女のまま娼婦としての仕事を始めるまでのショートストーリーと、各国の娼婦たちとジゴロ、それを買う男達へのインタビューが織り成されて構成されている。娼婦には日本人もいる。
彼・彼女達の語る言葉は時に前衛的で、時に保守的で、それぞれの立場を考えると胸に迫るものがある。
映画は、特にドキュメンタリーは誰かの真実を切り取り、それに色を付けて作品にしていくのを基本としているのだが、その演出の過程で素材が損なわれてしまうことがままある。それは製作者側の様々な(例えば商業的な。例えば思想的な。)事情や思惑によるのだろうが、この作品はインタビューの編集という形式を取ることにより、製作サイドの意図が入り込む余地をかなり狭めている。スクリーンの中にいるのは確かに「人間」だ。
学費に苦しむレベッカの葛藤を見るまでもなく、進んでこういった仕事に就く人間はいないだろう。もちろん抵抗の無い人もいるだろうし、生活の為に身を売る人間と有名になりたくてポルノに進む人間はまた違う筈だ。
その違いとは人が人生に求めるものの違い。つまりは生きる意味。彼女達の強さとはそれをしっかりと認識していることに起因するのだろう。そしてその強さが生まれた理由を考えるとき、スクリーンの前で俺はとても辛くなるのだ。きっと彼女達は"選ばせれた"のだ、という考えが消せないから。そしてその選択肢を提示するのはいつだって、空調の効いた部屋で哀れな人たちの物語を楽しむ側の人間なのだろうから。俺はいつだって偽善者なのだ。そしてスクリーンの中の彼女達はそれを許すのだ。
彼女は許す。多分それが必要だから。
ならば俺は一体何を許せばいいのだろうか?
・・・まあ、ゆっくり考えよう(;^^
総評 96点 女達。男達。
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