2006/09/25

【Flick】エミリー・ローズ


エミリー・ローズ
(2005、アメリカ)
監督:スコット・デリクソン
出演:ローラ・リニー
    トム・ウィルキンソン
    ジェニファー・カーペンター












実話を基に、悪魔に取り憑かれてこの世を去った少女の数奇な運命を辿っていくオカルト・ホラー。悪魔祓いによって少女を死なせたとして法廷に立たされた神父と女性弁護士の真実を巡る緊迫の裁判劇を描く。監督は「ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ」のスコット・デリクソン。出演は「愛についてのキンゼイ・レポート」のローラ・リニーと「エターナル・サンシャイン」のトム・ウィルキンソン。また、新進女優のジェニファー・カーペンターがタイトルロールを熱演。
 ある日、神父ムーアが悪魔に呪われたという19歳の女子大生エミリー・ローズに悪魔祓いを施した末、死に至らしめたとして過失致死罪で起訴された。彼の弁護には、野心的な女性弁護士エリンがあたることに。エミリーは精神病で、薬の服用をやめさせたことが原因だと主張する検事側に対し、エリンはムーアの真摯な主張をもとに悪魔の存在を証明していく――。ある深夜3時、大学寮で寝ていたエミリーは焦げ臭いにおいで目を覚ました途端、原因不明の痙攣や幻覚に見舞われる。以来、症状が悪化し、病院でも改善が見られない彼女は自宅で療養する。やがて、自分の中に何かが取り憑いていると確信したエミリーは、ムーアに全てを託す。だが、彼の懸命な悪魔祓いも空しく、エミリーは無惨な姿で命を落としてしまう…。(allcinemaより)













「実話が元になっているオカルトホラー」、「21世紀の『エクソシスト』」というコピーに惹かれて観てみたものの、どちらもあまり内容に即しているとは言えないだろう。
合理的理由が無く本当に実話なのか疑わしい部分もあるし、この作品はオカルトやホラーとしてではなく、むしろ「法廷モノ」として完成度が高いと思うからだ。


―初期設定はこんな感じ

売り出し中の弁護士であるエレンのもとに舞い込んだ仕事は、「『悪魔祓い』をするために化学療法を中止させた行為を過失致死として訴追された神父」の弁護であった。被害者は拒食による栄養失調と自傷による外傷により既に死亡している。また被害者自身敬虔なクリスチャンであり、「悪魔祓い」は本人の希望でもある。
神父本人は刑の軽重には関心が無く、ただ「法廷で証言すること」を望んでいる。しかし、神父の弁護依頼人である「カトリック教会」は、ことを荒立てたてることを嫌い、被告人を証言に立たせないことを希望している。

悪魔祓いについて証言を望む神父。
それを封じ込めたい教会。
科学的見地から被告の過失致死を立証させたい検察側。

自ら「不可知論者」を名乗り、「出世のために」この仕事を引き受けたと言い切るエレンが展開する弁論とは?そして裁判の行方は―。



どうすか?法廷モノとして観たほうが面白そうじゃないすか?


(軽いネタバレ有り)
結局エレンは「被害者は悪魔に憑かれていた。よって悪魔祓いは正当な解決策であり、化学的な投薬治療はむしろ被害者の悪魔祓いを阻害した意味で有害であった」という衝撃的な主張を行うことにを選択するのだが、法廷において「主張」するということは立証する義務を負うということだ。

自らを「不可知論者だ」とするエレンが、「悪魔払いの有用性(≒悪魔の存在)を立証する」という立場をとったことが面白い。 作中では、自らが怪奇現象にあったり、神父の「謙虚さ」に好感を抱いたりするうちに、被疑者の主張を前面に出すことを決意したように思わせるシークエンスがあるが、これはどうも後付けくさい。 個人的には、勝ち目の薄い裁判で陪審員の信仰心に一発勝負を賭けた、と考える方がしっくりくる。弁護士に対する偏見があるかもしれんけど、エリンって根底では無神論者っぽいんだよな。

エリンは、無いものを無いと証明しなければならない、いわゆる「悪魔の証明」を突きつけている様にも思えるんだけど、あれってアリなんかな?
ま、論理の限界なんて案外低いところにあるもんですよね。


総評 72点 1976年、ドイツで実際に行われた裁判がモデルみたいです。(´・∀・`)ヘー

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