運命を分けたザイル
TOUCHING THE VOID
(2003、イギリス)
監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:ジョー・シンプソン 本人
サイモン・イェーツ 本人
ブレンダン・マッキー ジョー・シンプソン
ニコラス・アーモン サイモン・イェーツ
リチャード・ホーキング 本人
アンデスの過酷な雪山でザイルに繋がれたまま遭難した2人の登山家の奇跡の生還劇を、当事者たちのインタビューと迫真の再現ドラマで描き出した真実の物語。ジョー・シンプソンのベストセラー・ノンフィクション『死のクレバス アンデス氷壁の遭難』を映画化。監督は99年の「ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したケヴィン・マクドナルド。
1985年6月、野心溢れる若き英国人クライマー、ジョー・シンプソンとサイモン・イェーツは、アンデス山脈の難関、標高6600mのシウラ・グランデ峰に挑んだ。ほぼ垂直にそびえる西壁はいまだ誰も成功したことのない未踏のルート。それでも2人は数々の困難を乗り越え、ついに西壁を制覇し登頂に成功する。しかし、悲劇は下山途中に起きた。細心の注意を払って下山する彼らを自然の猛威が襲う。そしてついにジョーが数10メートル滑落してしまう。滑落時の衝撃で片脚を骨折してしまうジョー。雪山での大ケガは、即、死を意味した。事態の深刻さに言葉をなくすジョーとサイモン。意を決したサイモンは互いの体をザイルで結びつけ、無謀な単独救出を試みる。しかし視界不良の中、懸命の救助を続けるサイモンだったが、そこで再びアクシデントが発生、ジョーの体は垂直の氷壁で宙吊りとなってしまうのだった。2人をつなぐザイルは張ったまま、引き戻すこともそれ以上下へ降ろすこともできなくなる。このままでは2人とも死んでしまう。サイモンは運命の決断を迫られる…。(allcinemaより)
見終わって、どっと疲れた。
この作品は、雪山からの奇蹟の帰還を描いたノンフィクションだ。
登山と言えば夏の富士山くらいしか経験はなく、キャンプといえばやはり夏のキャンプ場がほとんどの僕が、本来雪山の遭難に感情移入出来る筈は無い。恐らくはこの映画を観た多くの人もそうであったと思う。それにも関わらず、映画の中に引き込まれてしまい、スクリーンの中の吹雪に震え、太陽が照りつける銀世界の中で喉に渇きを覚え、僕の様に「見終って、どっと疲れた」人も多いんじゃないかと思う。
この映画は、文明の回路のど真中で暮らす僕達と、アンデスの雪山で遭難した若者に共通点があることを示している。
きっと、その事実に驚かせされる。
別々のものと思っていたのものが、実は同じ根っこで繋がっている。
そしてそれは自分にも関係している。
それを実感できる喜びに似た感情。
リンゴの落下を見て万有引力を発見したニュートンも、定理に気付いたピタゴラスも同じ感情を抱いたのではないかと思う。
これは「発見」の喜びだ。
生きるということ、生きたいということ。
そこに意味を見つけ出せないままにも、切にそう願う。
今、自分がそれほどまでに「生きたい」人間であることを「発見」させられた。
根っこに抱えるものは何なのか。
希望なのか、摂理なのか、愛なのか。
なんだかよくは分からないけれど、そういうものを志向する世界の一員であることを感じさせてくれた、この映画に感謝したい。
明日からはもう少し立派に生きていけそうな気がする。たぶんw
満足度 98点 邦題がいただけない
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