2006/12/26

【Books】どちらかが彼女を殺した


どちらかが彼女を殺した
東野 圭吾






最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。







いやー、まいったよ。
最近推理小説ばっか読んでたから少し飽きちゃってて、面倒になると最後まで推理せずに読んじゃうこともあったんだけど、この本犯人教えてくれねーんだよ。とんでもないよ。ぼーっと読んでたから何があったのか分からなかったよ。

こうなると解かない訳にはいかないよなー、ってんで本閉じて色々考えてみようと思ったんだけど、もうすっかり犯人教えてもらうつもりだったから内容よく覚えてないんだよ!今読み終わったとこなのに。
いやー、ビックリしたね。自分のいい加減ぶりに。ここまで集中していなかったとは。

結局最初から読み直して推理しました。
が、なんか書いているうちに違う考えが出てきたりしてまとまりませんでした。

俺の推理はこちら↓ *白で書いてあるので反転して読んでね。
結局解説も読んだので犯人は分かっているつもりだけど、湧き出た疑問を片付けられない(><)
誰か教えて~!!

さて推理。
まず、考えるべきはゴミ箱の中身だよね。
これによって康正と加賀刑事は犯人を特定できることになる重要なキーであることは作中に明記されているし。

見落としがなければゴミ箱の中に入っているのは「佳世子が破いた薬の袋」だけであるはず。
また、「その瞬間を見ていた」発言からも、「これで鑑識に出す手間が省けたな」発言からもゴミ箱の中身が薬袋であり、重要なのはその袋を破いた利き手であることが類推される。

ここで園子の部屋に残されていた薬袋の状態によって導かれる状況を考えてみる。
2つの袋のを破いたのが―

1.左手・左手だった場合
とりあえず右利きと思われる潤一は除外される。2つのうち一つは佳世子が破いていたとしても、2つ目が佳世子による再犯行の際の物か、絶望に暮れた園子自身によるものなのか断定はできない。

2.左手・右手だった場合
とりあえず一つは潤一が破ったものである。もうひとつは分からない。
一つ目が佳世子によるものだとすると、2つ目は潤一で彼が真犯人ということになるのだが、逆の場合は1.同様判断できなくなってしまう。

3.右手・右手だった場合
この場合のみ自殺が否定される。加賀が他殺と言い切っている理由も、薬袋がこの状況であったからだと思われる。


よって状況は3.「袋は両方とも右手で破かれていた」であったと推測できる。
ここから犯人が分かる、といういうことであれば容疑者二人の利き手は反対でなければならない。 そして右利きの方が犯人だということだ。



と、ここまで考えた。
しかし、これから先が分からない!

あんまり分からないから解説も見たけど、納得いかない!

解説によると、
1.加賀刑事が殺人と断定している → 薬袋の状況は前述の通り、両方右手で破られている
2.絆創膏は本棚の上にあるため、小柄な佳世子が使うのは不自然 → 潤一が使った → 感電死の準備をしたのは潤一 → コードを切ったのも潤一 → コードは右利きの人間に切られていた → 潤一は右利き

ということで、犯人は佃 潤一である!(・Α・)9m ドーン!!

明示はされてないけど上記が解説が示す真相だと思う。「文庫化に当たって、佳世子がどちらの手で袋を破いたのかが伏せられていることにより難易度が上がっている」とされていることからもコレで間違いないとは思うんだけど、本当にコレでいいのかなぁ・・・。


以下に俺の推理に続きを描くと同時に、解説が提示する答えに対する反論を試みる。


推理は「どちらかの利き手が分かればいい、というところまでいったけど特定できない!」というところまでいった。

作品中の2人の利き腕に対する描写を探すと、
佳世子には、園子の葬式の記帳を右手で行っている描写がある。が、園子同様強制されている可能性があるので断定する材料にはならない。

潤一に関してははそういった記述は見当たらない。
が、論理的思考で、感電死の準備をした犯人が潤一なので、コードをカットした人物=潤一は右利き、という答えが出されている。しかし、これには反論がある。

潤一が感電死の準備をしたとされる論拠は、解説にもあった「本棚上部に置かれた薬箱の中の絆創膏を使うには佳世子の身長が低すぎる」っていうものだと思うけど、これは弱すぎる。
所詮本棚だ。ちょっと高い位置にあるだけで不可能な訳じゃない。サイドテーブルに足をかけるなりすれば簡単に取れるはずだ。

どちらが右利きなのかこの時点では断定できないのではないだろうか?


絆創膏に関してはさらに違う疑問もある。
潤一が絆創膏を使うのも不自然だってことだ。
康正が「犯人がやったと思われる行動、自らの動作で再現してみた」際、寝室に入って周囲を見渡したとき「本棚の中程に置いてある、ガムテープとセロハンテープに向けられた」との記述がある(p.126) 見渡せば目に入るテープ類を無視して上段の薬箱の中の絆創膏を使う理由が無い。これに対する答えは見当たらない。結局、この理由は分からない。

ちょっと方向性は変えて、潤一が絆創膏を使ったのがたまたまとすれば、これは佳世子が真犯人で潤一に罪を着せるためにあえて使ったという見方も出来るような気がする。
つまり供述通り最初に絆創膏でコードをセットしたのが潤一とすれば、帰る前には当然それは剥がしたと考えられるが、残って改めて園子を殺した佳世子が、潤一に罪を着せるためにあえてその絆創膏を再利用した、ということも考えられる。絆創膏を使うのは潤一じゃなければより不自然なことに気づきあえて残した、ってわけだ。これなら「何故か絆創膏が取れかかっていた」っていう未解決な謎も、再利用だから粘着力が落ちていたってことで説明できる。

さらに相手に罪を着せる偽装工作という考えを適用すれば、袋の破き方も同様に相手を嵌める罠とみることも出来る。
まず解説の通り、佳世子が左利き、潤一が右利きとする。で、一枚目の袋は供述通り潤一が破いたとしても、2枚目の袋は園子が左利きであることを知っていた佳世子がわざと右手で破いておいたことも考えられる。その場合、カレンダーも右利きのやりかたで切ってあるのだろう。そうすれば万一事件が発覚しても左利きである彼女は有利な立場につける。

コードのカットも同様にいけそうだけど、彼女が一人で感電死の準備をしたってのは考えづらいから、その場合は2人はやはり共犯だった、てのはどうだろう。
2人は共犯というセンも否定できないんじゃないかな?小説の細部は忘れてるので整合性に問題があるかもしれないが、殺害現場に2人が鉢合わせした、というのが事実なら、2人は共犯であることも出来るんじゃないかな?その場合、グラスを片付けなかった理由が問題になるけど、先の袋と同じく事件が発覚することを想定して佳世子が仕掛けたという見方もできる。佳世子は車で現場にやってきて土足で部屋に上がってしまっている。周到なアリバイ工作を準備していた潤一を前にして、もし事件が発覚したなら逮捕されるのは私で、彼だけはまんまと逃れるのではないか、と考え、自分の身を守るため、少なくとも彼を逃がさないために一片のスキを作った、というのもアリじゃないか?ダメか?共犯なら、ワインを買って持っていったのは二人だということもいうことになるので、ボトルが空だったのも3人だからいっぱい飲んだだけ、ってことで片付けられる。実はグラスは3つあって、睡眠薬を注いだ園子のグラスは持ち帰って破棄されたって可能性だ。これだと殺害の翌日に二人で現場を訪れたって証言からするとちと厳しいが、なんとかなりそうな気がする。



思いつくままに長文書いてみたけど、我ながら検証する気にならん・・・。もう頭痛い(゜∀。)



当面晒しておくので、検証・反論是非お願いしますm(__)m


<ついでに気になる部分>


・最初に康生が部屋に入ったとき、サイドテーブル下に電話が転がっていたはず。何アレ?

おかしいところがあったら是非指摘してください!
よろしくお願いしますm(__)m

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