・中の茶屋~六合目
道はなだらかに登り続けるハイキングコースようだ。
狭い道の両側から朝日を浴びた枝が覆うように伸びている。澄んだ空気がおいしい。
05:17 馬返し
その昔はここまでは馬で来れたらしい。もっとも庶民はずっと歩いて来たのだろうが。俺みたいに。
ちょんまげで賑わう馬返しをしばし想像して先を急ぐ。
05:27 1合目
中の茶屋=1合目かと思ったが違った。ちゃんとありました。
ここまでの道は相変わらず快適そのもの。小鳥はさえずり、俺もさえずってみる。汗ばんだ帽子を脱ぐと心地よい清涼感がある。
05:49 2合目
小さな小屋があるだけの2合目。写真だけ撮って先へ進もうと思ったら、先の端の上に動く物体が。
浦和レーズッ!と怒鳴り散らそうかと思ったが、よく見たら人だった。沢に架かる小さな橋上に座り弁当を食べている。中の茶屋に駐車してあった車のオーナーなのだろうか。いずれにせよこの登山で初めて人に出会った。
こんにちは、となんのひねりもない挨拶を交わすその目が「お前もか」と言っている。
北海道ツーリングで出会うライダーと一緒だ。非日常な環境では不思議な連帯感が湧いてくる。
ま、男には興味ないし先を急ぐ。
06:02 3合目
10分程で3合目到着。快調だ。このペースで行ったら後1時間ほどで登頂だ。
深い森の合間から晴れ渡った空が見える。木漏れ日越しに見える青が深く美しい。
青は藍より出でて藍より深し、という言葉がふっと脳の奥から浮かび上がってくるが、意味を忘れた。
アルツハイマーだろうか。恐怖から逃げるように先を急ぐ。
06:30 5合目?
今まではいかにも観光用といった風情の綺麗な棒に1合目とか2合目とか書いてあったのだが、ここは小屋の前のぼろい板切れに「五合目」と書いてあり、その時も擦れている。
4合目も無かったし何かの間違いか?昔の五合目なのか?よく分からんが、景色はいい。
小屋はきつめの左カーブの内側に建っており、道の前は崖状に切り立っている。崖下から背の高い木々が青葉を伸ばしてはいるが、視界を覆うほどには育っておらず、葉の届かないひらけた空間から下界が見える。初めて景色らしい景色を見ることができた。
ここ、富士吉田登山口は江戸時代から残る富士御霊山参拝ルートらしい。五右衛門も与吉もここでひと休みしたに違いない。ご先祖様、富士は今もは変わっていませんよ。right?
さて、僕らは先へ行こう。
06:58 5合目 佐藤小屋
初の山小屋に到着する。霧深い。いつもそうなのだろうか。
小屋は早朝にも関わらず既に営業しているようだ。 24時間なのかな?
小屋の住人なのか遊びに来た子なのか、小学生くらいの女の子がボールを投げて犬と遊んでいる。犬はかなりの大型犬で飛び掛ると前足は女の子より高くなる。しかし女の子は特に怖がることもなく、またボールを投げて拾わせている。慣れているのだろう。動物と戯れる子供というのはかわいいもんだ。
俺は少し疲れたのでベンチに座り、ウィダーインゼリーを飲みながらるるぶで現在位置を再確認する。予定よりだいぶ早い。まぁ、帰りが決まっている以上早いにこしたことは無い。さてぼちぼち行くか、と思ったらボールが俺の方に飛んできてそれを追って巨大犬が突進してきた。女の子がミスったようだ。気をつけろ殺すぞ。
女の子の方にボールを投げ返してやり、出発する。いい天気になりそうだ。
星観荘
ちょっと登ったところで杖を買っていないことを思い出す。
そうだそうだ、杖を買って山小屋で焼印を押してもらうんだった。忘れてた。と思ったらすぐ次の小屋があったので、開け放たれていた玄関を除くと綺麗な金剛杖がまとめて傘立てに差してある。
さっそく買おうと「すみませーん!」と声を張り上げるも反応が無い。もう一度さらに大声で呼びかけるとガタガタと音がして階上からスウェット姿の若い女性が降りてきた。まだ寝ていたようだ。すまん・・・。
この女性はとても愛想がよく、かわいらしいひとだった。すっぴんだがかわいい。こんな山小屋にはもったいないくらいだ。(←失礼)
杖代1000円を支払い、「がんばってくださいねっ♪」と笑顔のお見送りをうける。オレ、ガンバル。
近くにいたオーナーらしい初老の男性も「がんばってくださいー」と声を掛けてくれる。ここは本当に富士山か。素晴らしい。焼印も綺麗だし、文句ありません。
みなさん、富士山にお立ち寄りの際はぜひ星観荘をご利用下さい。
六合目で御殿場口ルートと合流するはずが、どこかでルートを間違えたのか、いつの間にか獣道を歩いており、そこを抜けると細かい溶岩の急斜面に行き着く。上に柵が見え、その向こうが正規の登山ルートのようだ。仕方ないので急斜面を登り始めたが、細かい溶岩の斜面は足を踏み出すとカラカラと崩れ、一向に進まない。それどころか転びそうになる。
ここで転ぶとズサーッと滑り落ちて「ふりだしにもどる」ってことになりかねないので、真新しい杖を溶岩に突き刺しながら登る。一歩踏み出し、刺す。踏み出し、刺す。なんか強くなったようで楽しい。
やがて上まで行き着き、柵を越えて正規ルートへの復活を果たす。
あと半分!
2005/09/09
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