2006/10/05

【Flick】モンスター


モンスター
(2003、アメリカ/ドイツ)
監督:パティ・ジェンキンス
出演:シャーリーズ・セロン 
    クリスティーナ・リッチ


アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯として人々を震撼させたアイリーン・ウォーノスの真実の姿に迫る衝撃の実録サスペンス・ドラマ。ハリウッドを代表する美人女優シャーリーズ・セロンが13キロもの体重増加を敢行するなど体当たりでアイリーンを熱演、みごとアカデミー主演女優賞に輝いた。共演は「スリーピー・ホロウ」のクリスティナ・リッチ。監督は本作が長編デビューとなる女性監督パティ・ジェンキンス。
 1986年、フロリダ。ヒッチハイクをしながら男に身体を売る生活に疲れ果て、自殺する覚悟を固めたアイリーン・ウォーノス。有り金の5ドルを使い果たそうと飛び込んだバーで、彼女は一人の女性セルビーと運命的な出会いを果たす。同性愛の治療を強制されフロリダにやってきたセルビーもまた自分と同じように社会からの疎外感を抱いて生きていた。初めて自分を偏見なく受け入れてくれる人物と出会ったと感じたアイリーンは、“一緒に暮らそう”と提案する。しかしそのためにお金が必要になった彼女は、再び客を取るため道路脇に立つのだったが…。(allcinemaより)



アイリーン・ウォーノス

この映画のモデルになった実在の連続殺人犯。7人を殺した。

女性の連続殺人犯はアメリカ初であり、大きな話題になった。

映画をより深く理解するためにも彼女の人生について調べてみた―

1956年2月29日 アメリカ合衆国ミシガン州ロチェスターに生まれる。

           父はレオ・デイル・ピットマン、母はダイアン・ウォーノス。兄キースとの二人兄妹。

           両親は、母代案が15歳のときに結婚したがアイリーンが生まれる前に離婚。

           父レオは精神病を患っており、少女にわいせつ行為をするなどの事件をおこし入退院を繰り返す。1969年、服役中の刑務所で首吊り自殺。娘アイリーンと会うことはなかった。

           母ダイアンはアル中で、アイリーンが4歳のときに子供を捨てて家を出る。以降、兄妹は祖父母に引き取られて育てられる。

           祖父はアイリーンを虐待した。ライターのオイルをかけて火をつけたり、性的虐待も行った。祖母はアルコール依存症であった。

           彼女の生活は乱れ、複数の男と性交渉を結ぶようになった。その中には兄であるキースも含まれた。

1971年       14歳で妊娠した彼女は家族と縁を切られ、森に捨てられた廃車の中で生活するようになる。

           無事に男児を出産。赤子はすぐに養護施設に引き取られ、彼女は施設に送られる。

            祖母他界。高校を退学し、娼婦として生計を立てるようになる。

1974年       酩酊状態で車から銃を乱射し、逮捕。

1976年       バーで暴行事件を起こし逮捕。

           20歳。

           ヒッチハイク中にルイス・フェルに出会う。彼は69歳、ヨットクラブなどを経営する富豪であった。2人は結婚するが、アイリーンはフェルに厳しく当たり、また、バーで暴行事件に巻き込まれるなどしたため4週間後には結婚無効の申し立てを受ける。

1977年       兄キースが喉頭がんで死去。保険金1万ドルを受け取る。

1981年       酒に酔い、下着姿のままコンビニ強盗を行い逮捕。

1984年       偽造小切手使用で逮捕。

1986年       重窃盗罪で逮捕。押収された盗難車からはリボルバーは弾薬が発見された。

            ゲイ・バーにてティリア・ムーアという24歳の女性と出会い、同性愛関係になる。

            2人の信頼関係は厚く、パートナーとして人生を歩む。

            おそらく生涯を通じて、アイリーンは彼女に絶対の信頼を寄せ続けた。

            生計はアイリーンの売春で立てていたが30歳を過ぎた彼女の仕事は難しくなり、2人で窃盗や強盗を繰り返す。

            自動車窃盗、公務執行妨害、偽証、武器の不法所持で逮捕された。

1988年      アパート破壊行為で訴えられる。

1989年      売春も客がつかず、生活必需品さえ事欠くようになる。このころからアイリーンは精神状態に異変を生じさせていったという。

           好戦的になり、銃を携帯して歩くようになる。

           この時期の警察の記録によれば、「自分が法を凌ぐ存在であるという誇大妄想が見られる」とされており、反社会性人格障害(APD)が相当進行していたと見られている。

1989年12月   リチャード・マロリー(51)殺害。

          カーペットに包まれた腐乱死体が発見された。

1991年6月    デイヴィッド・スピアーズ(43)殺害。

          傍らに使用済みコンドームが落ちていた。

1991年6月6日 チャールズ・キャルズカドゥーン(40)殺害。

          全裸で発見された。

1991年7月4日 ピーター・シームズ(65)殺害?

          アイリーンとティリアはピーター・シームズ名義の盗難車で事故を起こす。

          車を捨てて逃走するが多数の人に目撃される。

          車内には血痕が残され、ガラスが割られ、ナンバープレートが外された状態であった。

          なお、結局死体は見つからずこの件に関しては不起訴となっている。

          シームズはキリスト教系新興宗教団体の伝導師であった。

1991年7月30日 トロイ・バーレス(50)殺害。

          5日後に腐乱死体で発見される。

1991年9月12日 ディック・ハンフリーズ(56)殺害。

          元警察署長。

1991年11月19日 ウォルター・ジーノ・アントニー(60)殺害。

            警察は7月の盗難車事故の犯人を容疑者として似顔絵を公開。

            マロリーの貴金属を質入した質屋から検出された指紋と車内の指紋が一致する。

1992年       死刑判決。

            警察に協力していたティリアは、公判中アイリーンと目を合わせなかったという。

            逮捕後のアイリーンの言葉

             「私は連続殺人犯で、機会があればまた殺す。私の中には憎しみがうごめいている」

            「これ以上、私を生かし、税金を使って裁判を長引かせるのは無意味」とし、

             州最高裁に上訴する予定の弁護人を解任するよう裁判所に求めた。

             死刑執行の期日が早まると判事に言われると、

            「怖くない。自分が何をやってるのか、十分承知している」

           と答えた。

2002年10月9日 午前9:47 死刑執行(薬物注射)

―ざっと調べたところこんな感じでした。間違いがありましたらご指摘願います。

一体彼女はどこでどうすれば良かったのか。何が彼女の過ちで、何が社会の罪なのか。

”モンスター”は何故生まれたのか。

最後に映画の中の彼女のセリフを一つ引用します。







「私は違う。あんたの知らないことを全部やってきた。あんたにとって人間は善良で親切な存在でしょ」

「あんたにとって人間は善良で親切な存在でしょ」









何も言えません。











総評 87点  シャーリーズ・セロンとクリスティーナ・リッチ。どちらも素晴らしいですよ

           

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