2006/04/11

【Flick】父、帰る 〈Возвращение〉



父、帰る 〈Возвращение〉
(2004、ロシア)

監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
撮影:ミハイル・クリチマン
出演:イワン・ドブロヌラヴォフ
    ウラジーミル・ガーリン
    コンスタンチン・ラヴロネンコ



2003年のヴェネチア国際映画祭で絶賛され最高賞の金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞する快挙を果たしたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による静謐で衝撃的な人間ドラマ。12年ぶりに突然帰郷してきた父親を前に、事情も呑み込めず戸惑うばかりの兄弟の姿を、謎を秘めた緊張感溢れる語り口で綴り、親子の間の絆や葛藤を鮮やかに描き出す。なお、本作撮影終了後、ロケ地だった湖で兄アンドレイ役のウラジーミル・ガーリンが不慮の事故で溺死する不幸な出来事があった。 ロシアの片田舎。2人の兄弟、アンドレイとイワンは母とつつましくも幸せに暮らしていた。父親は12年前に家を出て行ったきり音信不通。兄弟は写真でしか父の顔を知らなかった。そんなある夏の日、父が突然家に帰ってきた。寡黙な父はこれまでのことを何も語ろうとはせず、母も事情を説明しようとはしない。兄弟の戸惑いをよそに、翌朝父は彼らを小旅行に連れ出す。道中、父は子どもたちに対し高圧的に振る舞う。そんな理不尽な接し方にも、父を慕い続ける兄に対し、弟のほうは徐々に反抗心を募らせていくのだった…。(allcinemaより)




語らない父、戸惑いながらも近づこうとする兄、反発しながらも離れ切れない弟。
最小の社会たる家庭において、父はどこまでも父であり、息子はどこまでも息子である。普遍的な「親子」というものを、生々しく描ききった作品だ。

昨今目に付く仲良し親子にはきっと理解されないかもしれないが、親とは何か、絆とは何を示すのか、社会の意義とは、誰が何を何故求めるのか?反抗期に深く考えたことのあるような方ならきっと心に染みるだろう。

心の奥に沈んだ錘のようなこの存在感は何なのか。
この作品は静かに暗示しようとしている。

素晴らしい作品です。



総評 91点 兄役、ウラジーミル・ガーリンのご冥福をお祈りいたします

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