2006/04/27

【Flick】裸のマハ


裸のマハ
(1999、フランス/スペイン)

監督:ビガス・ルナ
出演:アイタナ・サンチェス=ギヨン
    ペネロペ・クルス
    ホルヘ・ペルゴリア
    ジョルディ・モリャ








19世紀スペインの著名な宮廷画家フランシスコ・デ・ゴヤの代表作『裸のマハ』を巡る女性たちの愛憎と葛藤をミステリアスかつ官能的に描いたサスペンス・ドラマ。監督は「ハモンハモン」のビガス・ルナ。出演は「雲の中で散歩」のアイタナ・サンチェス=ギヨン、「バニラ・スカイ」のペネロペ・クルス。 19世紀初頭のスペイン。時の王妃マリア・ルイーサが絶大な権力を手にしていたスペイン宮廷にあって、名家の出身で美人の誉れ高いアルバ公爵夫人もまた、社交界の華として、王妃に勝るとも劣らない権勢を誇っていた。奔放なアルバ公爵夫人は野心家の総理大臣マヌエル・デ・ゴドイの愛人であり、また当代随一の宮廷画家ゴヤとも特別な関係を結んでいた。そのゴドイは王妃を影で操る宮廷の最高実力者。アルバ公爵夫人以外にもペピータ・トゥドーというもう一人の愛人がいた。そんなある日、ゴドイは秘かにゴヤに対してある絵画の製作を依頼するのだった……。(allcinemaより)








「マハ、あなたは誰?」

ゴヤの名画、『裸のマハ』が描かれた宮廷を舞台に織り成される愛憎劇。
ちょっとした謎解きというか、サスペンス要素が程よく入っていて、『着衣のマハ』でなく『裸のマハ』であることにもちゃんと意味がある。エロいからじゃないんですよ。


中世スペイン王宮を舞台にした本作品は、全体に必要以上に豪奢で、抑圧的で、息が詰まるような均衡を保っている。田舎娘のペピータがその静寂を壊しドラマを生む役目を担うことになるのだが、ペネロペ・クルスがハマってます。ダンスのシーンは妖しさにゾクゾクしちゃいます。
バニラ・スカイ、オープン・ユア・アイズで「綺麗なねーちゃんだな」と思っていたがそれだけで、どちらかというと脇役向きの人だと思っていた。綺麗だけどオーラに欠ける印象だったんだよね。
ところがこの映画では彼女の魅力が存分に発揮されていて、その不思議な存在感はこの作品には不可欠なものになっている。彼女にはハリウッドよりスペインがいいのだろうか。そういえば「女王ファナ」という映画の若き女王役もエライ美しい女性だったな。スペイン女性には宮廷が似合うのかもしれん。
また、対する俳優陣もゴヤ役のホルヘ・ペルゴリアを筆頭に濃厚でいい味を出している。


役者だけでなく小道具や風景描写にも濃密な味がある。
厚く豊かな衣擦れの音、高い天井に響く足音、窓の外の石畳を駆ける馬車の蹄。
静謐な宮廷を彩る柔らかな音も気持ちよく、丁寧に描き出された時代風景はそれだけでも一見の価値はある。
時間も短いので疲れることも無く、心地いい暫しのタイムスリップが楽しめるだろう。

基本的には映像で魅せている映画だと思うので、これは大画面で観たいところですね。プロジェクターを買ってよかったと思うのはこんな作品を見たときです(´ⅴ`)


蛇足だが、原題にもなっている「ヴォラヴェルント」は劇中でも何回か台詞中に登場し、意味が分かんねーぞ、と思っていたが、どうもラテン語で「飛ぶ」とか言う意味らしい。作中では死の比喩として用いられていたのかな。
ネットでほんの少し調べたところ、後年のゴヤの作中にこの言葉が書かれていたとこかなんとかってことらしいが、興味を惹かれなかったので調べるのを止めてしまった。願わくば作中にさりげなく説明を入れて欲しかったなー。
空気の読めないガキが「ヴォラヴェルントって何?」って尋ねて、王妃がぶっ飛び気味に説明するとかペピータがドキドキさせながら教えてやるとかすれば、雰囲気も壊れず俺もスッキリだったんだが・・・。今更遅いか。

まどろっこしい貴族の話とかが嫌いじゃなくて、ペネロペ・クルスが好みに合えばそれだけでも楽しめると思います。


総評 81点  ⊂ 二二二( ^ω^)二⊃ VOLAVERUNT!

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