2005/11/09
【Books】WASP -アメリカン・エリートはどうつくられるか-
「ワスプ(WASP)―アメリカン・エリートはどうつくられるか」
越智 道雄著
中公新書
1998年初版
WASP - White, Anglo-Saxons, Protestant (白人、アングロサクソン、プロテスタント)の頭文字を取ったもので、アメリカの上流階級のマジョリティーを占め歴代大統領も殆ど彼らが占めていることくらいは何となく知っていたが、逆に言うとそれくらいしか知らなかった。そこで、ここらで一度「WASP」とは何か?を知っておくのも面白いかもしれないと思って読んでみたのだが、結論からいうと面白くなかった。大きな理由は次の3つ。
1.著者の筆力不足
2.著者の自己顕示欲強すぎ
3.結論ありきの構成
1.はそのまま。文法的に間違いではないかと思われるような倒置が用いられたりしていて、とにかく読み辛い。
2.は言い換えれば無駄が多いということ。本論に関係の無い引用やエピソードが多く、それが自分の知識や体験のお披露目にしかなっていないので、「俺も若い頃は無茶をやった」オヤジの武勇伝を聞いているのと同じくらい退屈だ。
3.もともとワスプでもアメリカ人でもない著者が書いたのだから無理もないかもしれないが、どこかの誰かが作った資料を引用してきて、それを結論にしようと更に裏づけの浅い資料を持ち出してきて固めているので説得力がまるで無い。フィッツジェラルドや「普通の人々」が飽きるほど引っ張り出されてきているのを見ると、この本は白人好きの中学生が書いたのではないかと思ってしまう。
頑張って最後まで読んだが、ちょっと内容が薄いと感じた一冊であった。
ワスプの特性がまるで武士道のように描かれているのには興味を持った。今度その辺りを検証している別の本でも読んでみたいね。
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