2010/10/10

暇つぶしの推理

久々に東京体育館に泳ぎに行ってきた。

2回目の利用だが前回時より水も綺麗で、夏が終わったからかそれほど混雑もしておらず、快適にスイミングを楽しめた。

何ら問題なかったのだが、男子ロッカールームに気になる張り紙がしてあった。


「下着盗難注意!」



最近男子更衣室で下着が盗難の被害に遭われることが多発しています、とのことで、特にブランド品は気をつける旨が記載されている。
風呂場の棚には至るところに「下着を置かないように!」との注意書きシールが張ってあったので本当に頻発しているのだろう。


連休だというのに用事もなくヒマなので、今回はこの犯人像について論理的に迫ってみたい。


まず、下着泥棒=コレ即ち特殊な性癖の方の犯行と考えたくなるのだが、それは例え帰納としては正しくても、事件は常に個別の案件として捉えるべきで、推理や推論は演繹であるべきだ。
捜査に必要なのは事実と論理の積み重ねで行われるべきであって、予断や偏見、先入観は禁物なのだ。
短絡的に結論を求めてはいけない。
目の前の事実から愚直に推論を重ねていこう。



現在、我々に与えられた事実はふたつだけ。

事実1)ロッカールームに、
「男子更衣室で下着が盗難の被害に遭われることが多発しています
特にブランド品は注意してください」
という旨の書かれた張り紙がしてあった

事実2)風呂場前の脱衣所には特に多くの注意分があった。

この2点だ。

実際に自分が被害に遭う、もしくは被害者の話を聞けるなり出来ればよかったのだが、残念ながら自分の下着はユニクロであるため犯人の誘うに至らず、また、被害者の話を聞こうとロッカールームでブランドものの下着を履く男性を物色していたりしたら要らぬ誤解を招くことは必至なのでこれも断念せざるを得なかった。


張り紙から推測するに、犯人は主に風呂場の脱衣所で、ブランドもののパンツを中心に盗みを重ねたのだろう。
通常の盗難注意勧告には財布・時計・携帯電話などの貴重品が登場するのだが、今回は一切触れられていない。
犯人はパンツにしか興味の人間なのだ。
さらに男子更衣室の奥の風呂場の脱衣所に易々と侵入を繰り返しているいるところから、当然犯人は男であると推測される。

また、単にブランドもののパンツが欲しいだけならば直接パンツを盗るより現金や高額品を狙って、パンツは普通に購入した方が効率がいい。または直接店舗で万引きという手段もある。
それはハイリスクだと考えたにしても、ロッカールームで盗難を重ねるくらいならベランダに干してあるのを狙った方がリターンが大きいのではないだろうか。
スポーツクラブに持ってくるパンツなど多くても2枚だろうが、ベランダならば5,6枚の大量獲得も夢ではないだろう。
また、男性は一般に「下着を盗られる」をいう発想自体がないので、紛失に気付いても「風で飛んだかな?」と考え事件に発展することもないと思われる。
一方、風呂場から上がってパンツがなければ、これはもう誰が持っていったに相違なく、間違いなく「盗難事件」として扱われることになる。
犯人は、わざわざ事件が表面化するというリスクを冒して行為に及んだのだ。
何故か。
もはや論を待つまでもなく、犯人が欲しかったのは「洗濯してベランダに干してあるパンツ」ではなく、「トレーニング後の汗臭いパンツ」だったのである。


ここまでの論理の積み重ねにより、犯人は汗臭いパンツにしか興味のない男であることが判明した。


ここまでの演繹は完璧であるが、賢明な読者はお気付きの通り一つの事実が抜け落ちてしまっている。
そう、ブランドものが中心に被害に遭っている、という点だ。

ここで、おお、そうか!犯人は単に汗臭いパンツにしか興味のない男ではなくて、汗臭いブランドもののパンツにしか興味のない男だったのか!と推論を進めることは容易い。
容易いが、これは単に机上の論理であり、犯人像を浮かび上がらせるといううえでは悪手といっていいと思う。

質問しよう。
あなたは「汗臭いブランドもののパンツにしか興味のない男」をイメージすることが出来ますか?

イメージできるなら教えてほしい。
いやそれ正に俺。ということならば自首してほしい。

おそらく大多数の人は「汗臭いブランドもののパンツにしか興味のない男」を上手くイメージ出来ないのではないか。

何故か。
上手く言えないが恐らく、「汗臭いパンツにしか興味がない男」はその息づかいが聞こえる程に動物的欲求が伝わって来るのに対して、「汗臭いブランドもののパンツにしか興味のない男」は先の動物的欲求に加えて、ブランドという社会的ファクターに対する欲求が混在しているということになるのだが、それぞれは全く別の土壌から発生していて、それらを同じ人間が希求すること自体はあったとしても、同時に混濁してひとつの犯罪の動機になるとは、おそよ考えづらいからではないだろうか。

しかしそうは言っても、ブランドもののパンツが被害にあっているのは事実である。

この齟齬の解決は犯人の欲求という面からアプローチすると容易い。

汗臭いパンツにしか興味のない犯人が、大量の汗臭いパンツを前にしたとき、何を基準に選別するのか、ということである。


むかしブルセラショップという店が話題になったことがあった。
ブルマとセーラー服(=ブルセラ)ということで、その名の通り高校や中学などのブルマやセーラー服をマニア向けに販売していた店らしいが、次第にエスカレートして高校生らのパンツまで販売していたらしい。
残念ながら俺がその存在を知る頃には摘発を受けて軒並み休業してしまい行くことはなかったのだが、テレビでみたその店内の様子は覚えている。
所狭しと制服や体操服が並べられた店内の一角に、5cm四方くらいに仕切られた小さなプラスチックの棚があり、それぞれの仕切りの中にはビニール袋に個別包装されたパンツが入っていて、客はその中から好きなパンツを選んで購入するシステムになっていた。
そして、その袋には必ず写真がついているのだ。
正直、真偽のほどは分からないと思うのだが、一応その写真のコが履いていたパンツ、ということになっているようで、客達は写真を見比べて好みのコを選んで買うのである。
アンケートを取ったわけでもないので断言はできないが、映像を見る限りでは客達が熱心に見ていたのはパンツそのものよりも写真であった。
パンツそのものデザインや質感などよりも、誰が履いていたのか、が重要であるというワケである。
これは感覚的にも論理的にも深く首肯できる。


そしてこの選択基準は今回の犯人にも援用できるのはないと思われる。
つまり犯人は「ブランドもののパンツ」が欲しかったのではなく、「ブランドもののパンツを履いていた人のパンツ」が欲しかったのだ、という理屈である。

どんな人がブランドもののパンツを履いているのか、データが無いので断言は出来ないが、おそらく若くて良く鍛えられた人が多いのではないか、と思う。
他人に見られる、もしくは自分で見ることを前提をしていると思うが、一般に人目を気にするのは若いときであって、下着姿を見せることを前提としているならばそれなりに鍛えられているのではないか、と思うからである。
ぶくぶくのビール腹じゃどんな下着を着ようが格好悪いので、そういう人は下着姿になったときにどう見えるかを考えるよりも、下着姿にならないように、もしくは下着姿になったときにどう見られないようにするかを考えるのではないか、と思うからである。



以上の推論から犯人像を組み立てると犯人像は・・・

若く鍛えられた男の汗臭いパンツしか興味のない男

ということになった。


だからどうこうということはもちろんない。



2 件のコメント:

チョビ さんのコメント...

とりあえず・・・

男のパンツが好きな人がいるってことなんですねc⌒っ゚д゚)っφ メモメモ...

推理を見てると笑えてきてしょうがないんですけどww

keigochkasan さんのコメント...

ふむ・・・

コメントから推理すると・・

ズバリ読んでないなっ!m9っ`Д´) ビシッ!!


まー冗長すぎるからねー。
本人も推敲する気にもなれんw。゚(゚^∀^゚)゚。ギャーハッハ