2006/06/13

【Flick】ダークウォーター


ダークウォーター
(2004、アメリカ)

監督:ウォルター・サレス Walter Salles
原作:鈴木光司 Koji Suzuki
    『仄暗い水の底から』(角川書店刊)
出演:ジェニファー・コネリー Jennifer Connelly
    アリエル・ゲイド Ariel Gade




鈴木光司原作、中田秀夫監督の「仄暗い水の底から」を、同じ原作・監督コンビの「リング」に続きハリウッドでリメイクしたサスペンス・ホラー。監督は「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレス。主演は「ビューティフル・マインド」のジェニファー・コネリー。
 離婚調停中のダリアは、5歳の娘セシリアの親権をめぐって別れた夫との争いが続いていた。娘と一緒に暮らすための部屋を求めて、ニューヨークのルーズベルト島にあるアパートへとやって来たダリア。薄暗く不気味な雰囲気漂うアパートだったがシングルマザーのダリアに贅沢は言えない。こうして、アパートの9階の一室で母娘ふたりの新生活が始まった。ところが、寝室の天上にある黒い染みが日に日に大きくなり、黒い水までしたたり落ちてくる。さらに、裁判の行方も気がかりで、ダリアの心は不安とプレッシャーで押し潰されてゆく…。(allcinemaより)





すっかり市民権を得た和製ホラーハリウッドリメイク。

監督がこの役が出来るのはジェニファーしかいない!と猛烈に誘ったらしいが、さすがにバッチリはまってます。ちょっと綺麗過ぎて貧乏が似合わない感もありますが、トラウマを抱えた離婚協議中の母、という難しい役どころを見事に演じきっています。
また、子役が可愛いこと可愛いこと。舌足らずな英語はもしかしたら棒読みなのかも知れないが、語学力に欠ける僕の耳には喋る時にはいつも一生懸命、という子供の愛らしい一面に見えました。今まで見た子役の中でNO1です。
優しく微笑む美しい母に、零れる笑顔で見上げる娘。理想です。そんなこと言ってもしょうがないが、離婚する夫はアホですね。

さらにハマリ役といえば、(役ではないが)舞台となるマンションも凄いね。
ボロさ加減、陰鬱な雰囲気、全体を覆う貧乏臭。完璧です。よくもまぁ、こんな都合のいい場所があったもんです。

人間の心理を巧みに捉えたストーリーは秀逸で、大げさでない演出と相まって鳥肌が立つタイプの恐怖を伝えます。
外部から驚かすのではなく、元から内部にある恐怖に気付かせる。
人間の狂気や愛、破局を織り交ぜることによって観客の足元を不確かなものにして、揺らいだ心の隙間に異物を詰めていく。違和感が充分に膨らんだころに静かだが確かな事件が起こり、主人公と観客だけが恐怖のうちに引きずり込まれる、という構成は日本ホラーの王道というものですが、使い古されたという感はなくぞくぞくとした恐怖を与えてくれます。

夫の買収とか弁護士の嘘とか、意味を理解しかねるプロットもあるけど、映画化のリメイクとは思えない秀作です。怖いもの好きなら是非。


総評80点  久しぶりにホラーで満足。

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